COLUMN
疾患
腹膜心膜横隔膜ヘルニアについて
2024.11.28
横隔膜とは肺や心臓がある胸腔と消化管や肝臓などがある腹腔を隔てる膜の事で、横隔膜ヘルニアとは横隔膜に穴が生じで腹腔臓器が胸腔に移動する病気です。
生まれつき穴がある先天性と事故に起因する外傷性横隔膜ヘルニアがあります。
先天性の横隔膜ヘルニアには主に胸膜腹膜、腹膜心膜、食道裂孔の3つが存在します。
本日は最も多いとされる腹膜心膜横隔膜ヘルニアについて説明します。
欠損部から腹腔内臓器(一般的に肝臓・消化管)が心嚢内(心臓を包んでいる膜の内側)に逸脱します。
呼吸器症状や消化器症状を呈することがありますが、無症状で偶発的に発見されることが殆どです。
検査
レントゲン検査で横隔膜ラインの消失や心陰影の異常(円形化や拡大)を確認します。
超音波検査では心臓に接する腹腔内臓器の確認が可能です。
↑正常な猫のレントゲンです
↑偶発的に腹膜心膜横隔膜ヘルニアが見つかった猫のレントゲンです
治療
根本的な治療は外科的介入により、逸脱した腹腔内臓器を戻し、穴を閉鎖することです。
8~16週齢での早期手術で周辺臓器との癒着リスクを軽減することができると言われています。
避妊去勢手術のタイミングや健康診断でレントゲン検査を行い、早期発見を心がけましょう!
獣医師 平林