COLUMN
疾患
ジアルジアについて
2024.12.12
本日は消化管内寄生虫であるジアルジアについてお伝えします。
主に集団で生活している保護施設やペットショップからお迎えした子で多い疾患です。
人獣共通感染症としても知られています。
ジアルジアとは
ジアルジアはシスト(嚢子)とトロフォゾイト(栄養体)の2つの形態を持ちます。
シストは環境や消毒薬に耐性があり外界でも長く生存可能です。これが再発や多頭飼育での蔓延に繋がる原因です。
経口摂取されたシストからトロフォゾイトが脱出して増殖し、腸管に寄生します。
診断
糞便検査でジアルジアを確認できます。
特にトロフォゾイト(栄養体)は特徴的な姿をしています。
(上図)ジアルジア栄養体の模式図
(上写真)糞便中に確認されたジアルジアの栄養体
必ずしもジアルジアを糞便から確認できるとは限りません。
補助的にPCR検査でのジアルジア遺伝子検出を行うこともあります。
治療
駆虫薬を使用します。1度の投薬で完全に駆虫することはできず、3,4クールの投薬が必要となることが多いです。
また、腸管細菌叢の崩れが生じていることも多いのでプロバイオティクス(整腸剤)も使用します。
重要なことは、シストは環境や消毒薬に耐性があり外界でも長く生存可能ということです。
ジアルジアと診断されたらトイレや寝床はこまめに洗浄し、シストを死滅させる為に熱湯消毒を行いましょう。
猫は犬に比べグルーミングをよくします。被毛についたシストを接種しないよう、下痢が落ち着いていればシャンプーも有効です。
最後に
消化管内寄生虫は若齢犬・若齢猫の下痢の一般的な原因のひとつです。下痢や嘔吐が見られた場合は糞便検査をご提案することがあります。
獣医師 平林