COLUMN
疾患
コクシジウム症
2024.12.20
本日は消化管内寄生虫のひとつ、コクシジウム症についてお伝えします。
コクシジウム症について
一概にコクシジウムといっても、多数の原虫が含まれ、未解明な部分もある寄生虫です。
昆虫、哺乳類、鳥類、爬虫類などの多くの動物に寄生しますが、それぞれ生育に適した動物種族(宿主)でしか感染を起こしません。
犬や猫で主に問題となるのはイソスポラ属です。
犬のコクシジウム(主にCoccidium.csnis Coccodoium.ohioensis)が猫に感染したり、猫のコクシジウム(主にCoccidium.felis Coccidium.rivolta)が犬に感染したりすることはありません。
感染経路は経口感染で、感染動物の糞便中に排泄されたオーシストが環境中で成熟したものや、組織内にシストを形成したネズミ(待機宿主)などの生肉接種によります。
小腸に寄生し、下痢・血便・嘔吐・体重減少などの症状がみられることがあります。
診断
糞便検査でコクシジウムを確認できます。
治療
駆虫薬を使用します。
補助的に消化のよいフードを与えます。
腸管細菌叢の崩れが生じていることも多いのでプロバイオティクス(整腸剤)も使用します。
基本的に、感染により免疫が成立するので同じ種の再感染は稀です。
環境中のオーシストの消毒には一般的な消毒薬では効果が無い為、熱湯消毒(70℃以上)や高温スチームを行います。
最後に
消化管内寄生虫は若齢犬・若齢猫の下痢の一般的な原因のひとつです。
下痢や嘔吐が見られた場合は糞便検査をご提案することがあります。
獣医師 平林