COLUMN
疾患
レッグ・カルベ・ペルテス病
2025.01.08
成長期の4~12ヶ月齢の小型犬で生じるレッグ・カルベ・ペルテス病についてです。
別名“大腿骨頭無菌性壊死症”とも言われます。
その名の通り、大腿骨頭への血管の血流障害により、大腿骨頭に虚血・壊死が生じる病態です。壊死が生じると大腿骨頭の変形や骨折が起こります。
症状
初期症状では患肢の違和感・軽度な歩行異常が、病態が進行すれば挙上や大腿筋群の萎縮が見られます。
診断
触診にて、患肢の後方伸展時に疼痛が認められます。
レントゲン検査で大腿骨頭の変形、透過性の亢進が認められます。ただし、初期段階ではこれらの変化が認められない場合もある為、2~4週間隔を空けて再検査を実施します。
治療
内科療法への反応は悪いため、外科療法が選択されることが多いです。
・大腿骨頭切除術
現在、多くの症例で行われています。壊死した骨頭を切除し、疼痛の原因を取り除きます。結合組織によって偽関節が形成されます。既に筋力の低下や萎縮していることが多く、術後リハビリが必要となります。家にあるものでできるリハビリをお伝えしますが、頑なに患肢を使おうとしない子にはトレッドミルなどリハビリに特化した機器がある病院にご紹介いたします。
・人工関節全置換術
大型犬では負荷がかかり大腿骨頭切除術では回復が遅くなるため、人工関節全置換術を行います。小型犬でも利用されるようになってきました。
感染・再脱臼・骨折などの合併症リスクはあるもののリハビリは不要で機能もほとんど元通りというメリットがあります。しかし、高額であることや専門の機器が必要で、小型犬であれば大腿骨頭切除術で充分日常生活が送れる為、そちらを行うことが殆どです。
獣医師 平林