BONHEUR ANIMAL HOSPITAL

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総合診療科

2025.10.18

今回は猫ちゃんの歯肉口内炎についてお話しします。

猫ちゃんの歯肉口内炎は歯の周りの歯肉(歯茎)の部分に炎症が起こっている状態を言います。
年齢を問わず発症し、歯垢や歯石が少なくても発症する可能性があります。

<症状>

・食欲はあり、食べたそうがあまり食べられない
・よだれが多く、口周りが汚れている
・口臭がする、口の中が赤くなっている

などが挙げられます。

何よりも食べたくても食べられない事がとても辛い症状です。

<原因>

原因ははっきりわかっていない事も多いですが、関与している原因として

・ウイルス感染(カリシウイルス、猫免疫不全ウイルス、猫エイズウイルスなど)
・細菌に対する過剰免疫
(歯に付着した歯垢や細菌に対して、免疫等が過剰に反応することで炎症が生じる可能性)

などが挙げられます。

<治療>

大きく内科治療と外科治療に分けられます。

内科治療は

①抗炎症剤(ステロイド剤やシクロスポリンなど)
②抗生剤 
③インターフェロン製剤 
④口腔内善玉菌サプリ
⑤口腔内洗浄剤

などが挙げられますが、効果が短期的であったり、根本的な治療にならない事が多いのも事実です。

外科治療は歯石除去全臼歯抜歯全顎抜歯がメインとなります。

歯石除去や抜歯をする理由としては口腔内細菌を減らし、過剰な免疫反応を抑えるという事なので、歯垢や細菌の発生場所となる歯を抜く事が理に適っているという事になります。

全臼歯抜歯は症状の原因になりやすい臼歯(奥歯など)を全て抜く治療となります。
全顎抜歯はこの処置のみで改善が乏しい場合に切歯や犬歯も含めた抜歯を行うこと治療となります。
また抜歯は必ずしも全ての歯を抜く訳ではなく状況に応じて、必要な歯だけ抜歯することもあります。この治療により歯肉口内炎の改善率は全臼歯抜歯ではおよそ60〜70%、全顎抜歯では70〜80%程改善するとの報告もありますが、改善率には個体差がある事、改善するのに要する期間も個体差があります。

また上記の原因で述べたウイルス感染が背景にあると、継続治療が必要なケースがあります。

もし上記の内容でお悩みがあれば当院までご相談ください

獣医師 竹岡