BONHEUR ANIMAL HOSPITAL

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腫瘍科

2026.02.28

今回は犬のお尻にできるしこりについてお話します。

「お尻のしこり」で最も代表的なものの一つが肛門周囲腺腫です。

一言でいうと「雄の性ホルモンが影響する、良性の腫瘍」です。

無症状であることも多いですが、放置すると破裂や感染のリスクがあり、また後々の手術の難易度や合併症などに影響します。

以下でまとめて解説します。

肛門周囲腺腫とは?

肛門のまわりにある「肛門周囲腺」という分泌腺が腫瘍化したものです。

  • 性質: 基本的に良性です。(※悪性の場合は「肛門周囲腺癌」と呼ばれます)
  • 原因: 男性ホルモン(アンドロゲン)が深く関与しています。
  • なりやすい犬: 未去勢のオス(高齢犬)に圧倒的に多く見られます。稀に避妊済みのメスや去勢済みのオスにも出ますが、その場合は副腎疾患などが隠れていることがあります。
  • できやすい場所:ほとんどが会陰部(お尻の周り)で発生しますが、尾や腹部に見られることもあります。

な症状

初期は症状がないことが多いため、飼い主さんが「お尻にデキモノがある」と気づくのが一般的です。

  • 肛門の周りに1〜数個のしこりができる。
  • しこりが大きくなると、表面の皮膚が薄くなり自壊(破裂)して出血などを認める。
  • 気にして舐めたり、お尻を地面にこすりつけたりする。
  • しぶり(排便したいのに出ない状態)が見られることがある。
  • 巨大化すると排便を邪魔し、便秘など排便障害につながる。

治療法

良性腫瘍なので、転移の心配はほとんどありませんが、物理的な問題(出血・痛み・排便困難)を解決するために治療を行います。

  • 外科手術(摘出): しこりそのものを取り除きます。
  • 去勢手術: 原因が男性ホルモンであるため、同時に去勢手術を行うのが標準的です。去勢によって腫瘍が縮小したり、再発を抑えたりする効果が期待できます。
  • 内科療法: 高齢や持病で麻酔がかけられない場合、ホルモン剤で小さくする処置をとることもありますが、根本解決には手術が推奨されます。

予防と注意点

最大の予防策は、若いうちに去勢手術を済ませておくことです。また去勢手術は前立腺疾患や精巣腫瘍などの疾患の予防にもなります。

注意点は

・お尻にできるしこりはこの腫瘍だけではなく、それ以外にもあること。

・悪性の肛門周囲腺癌はとても悪く、同じおしりにできるしこりでも、腫瘍の挙動も診断、治療へのアプローチも全く変わってくること。

などが挙げられます。

無症状という事で様子を見られるケースもあるので、もし見つかれば、病院を受診していただき、ご相談いただければと思います。

獣医師 竹岡