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総合診療科

2025.04.25

再生医療というと、新たに作成した組織を移植するような治療を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?いわゆるiPS細胞を用いた治療では分化した細胞移植による治療は研究が進んでいますが、再生した臓器を移植する治療はまだ実現には至っていません。

では、現在行われている再生医療とはどういうものなのでしょうか。

体外で培養した幹細胞を投与し、組織修復機能や自己治癒力を高め治療する医療です。幹細胞には多能性幹細胞と体性幹細胞があり、先に述べたiPS細胞は多能性幹細胞(様々な細胞に分化できる幹細胞)に分類されます。

実用化されている再生医療は体性幹細胞(分化できる細胞が限定的な幹細胞)に分類される間葉系幹細胞(MSC)の投与によるもので、MSCから分泌されたサイトカインが細胞に働きかけ抗炎症作用・免疫調整作用・組織修復を促す治療です。

これまで動物医療でも再生医療が行われていましたが、昔は元となる細胞を得るため健康な犬猫からの脂肪採取が必要であったり、細胞培養する設備が必要で導入にコストがかかること、培養技術のあるスタッフの確保面などから気軽に受けられる医療ではありませんでした。

現在は自院以外で既に培養・増殖した幹細胞を用いることで特殊な設備がなくとも再生医療を実施することができるようになりました。椎間板ヘルニアで薬事承認を得た薬剤の登場もあり、ますます身近な治療法のひとつとして注目されてきています。

当院では、MSCの機序から椎間板ヘルニア以外にも外傷による脊髄損傷・慢性腸症・アトピー性皮膚炎など様々な疾患での効果が期待できると考えており、再生医療のさらなる普及・治療拡大のため特定疾患のみで薬事承認を得たお薬ではないものを採用しました。

臨床データがすでに数多く集まっており、再生医療の第一人者であり当グループのアドバイザーでもある獣医師が顧問として設立に関わっている動物再生医療技術研究組合(PARM)の臨床研究に参加し、PARMさんの管理する幹細胞を用いた治験を行っています。

次回のコラムではどのような疾患で用いることができるのか、どのような投与方法を行うのかなど具体的にご説明いたします。

副院長 平林