BONHEUR ANIMAL HOSPITAL

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腫瘍科

2025.04.21

ステージング(TMN分類)という言葉を聞いた事がありますか?

テレビなどで有名人の方が『〜がんでステージ〜』という言葉をもしかしたら耳にされた事があるかもしれません。

前回のコラムでできものの診断を目指し、その結果がんと診断された場合は、動物も人間と同様にステージングをします。

これは『がんが今、からだの中でどのくらい広がっているか』を調べることを言います。

ざっくり言うと一番良いのはがんがその場所だけに留まっている場合で、一番悪いのは全身転移、遠隔転移です。

以下は犬のリンパ腫の臨床ステージの例です

ステージ1単一のリンパ節および単一臓器のリンパ節に限局
ステージ2領域内の複数のリンパ節に浸潤を認める
ステージ3全身性リンパ節浸潤を認める
ステージ4肝臓および脾臓に浸潤を認める
ステージ5血液や骨髄への浸潤またはその他の臓器への浸潤を認める
サブステージaとba:全身症状なし b:全身症状あり

ではなぜこのステージングが必要なのでしょうか。

それはステージングによって①今後の治療方針の指標 ②そのがんの予後を予測できるからです。

治療方針はこのステージングの結果により大きく変わります。

まず重要な事は根治的治療ができるかどうかです。根治的治療とはからだからがんを完全に取り除く事を目指す治療です。

根治的治療には外科手術放射線治療化学療法などがありますが、とても動物に負担になる治療です。

仮にがんが進行している状態で大元(原発巣)を取り除いても、その分身たち(転移巣)がその他の場所で同じように悪さをするので、良い結果とはなりません。この場合はいかに動物の苦しみを減らしてあげられるかを考えます(緩和治療)。

例外として、転移はしているけど、その大元(原発巣)があまりにも酷い悪さをする場合は上記のような治療(外科手術、放射線治療、化学療法など)をすることもあります。

次に予後の予測についてです。

これはがんの種類とそのステージ、治療の有無などでこの子が後どのくらい生きれるのかを数字として予測できます。『余命〜ヶ月』と言う言葉を聞いたことがあると思いますが、それはここから来ています。

これはがんの種類によっても大きく変わります。またこれはあくまで統計的な数字なので個人差もあります。

これらの情報を元に、動物にとって最善の治療を検討し、オーナー様と話し合い治療を決定します。

次回はこのステージングをどのようにしているかをお話しようと思います。

獣医師 竹岡