犬の脾臓の腫瘍について
腫瘍科
2025.07.29

今回取り上げたい内容は犬の脾臓の腫瘍です。
人ではあまり聞きなじみのない臓器かもしれません。
脾臓は血液の貯蔵、免疫機能、古くなった赤血球の処理、造血など様々な役割をしている大きな臓器です。
わんちゃんはこの臓器に腫瘤ができる事が非常に多いです。

脾臓にできた腫瘤はおおよそ50%が良性病変、50%が悪性病変と言われています。
具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 良性病変(血種、結節性過形成、髄外造血、骨髄脂肪腫など)
- 悪性病変(血管肉腫、間質肉腫、悪性腫瘍の転移など)
特に悪性病変の中では血管肉腫という非常に悪性度の高い悪性腫瘍が50%を占めていると言われています。
それぞれの腫瘍により特徴はありますが、これらの腫瘍のやっかいな点は目立った症状があまり現れない点です。
よくあるケースとしては、これらの腫瘤が破裂してしまい、状態が急変してから病気が見つかるというケースです。
重要な事はやはり早期発見です。
早期発見のためには定期的な健康診断などが必要ですが、なかでも画像診断がとりわけ重要になってきます。
これらの腫瘍は血液検査では見つからない事がほとんどです。
また悪性度の高いものは数か月のうちに急激に大きくなるので、半年前になかったものが見つかるというケースもあります。
画像診断とは具体的にはレントゲン検査と超音波検査です。
脾臓の腫瘤は基本的に上記の検査で発見することができます。
早期発見することで今後の治療方針が先手を打ってたてやすくなります。
具体的な治療内容は次回にお話ししようと思います。
今回は脾臓の腫瘤のお話と、健康診断の重要性となかでも定期的な画像診断の重要性をお話させていただきました。
獣医師 竹岡